
雪椿特集新潟県の木「雪椿」

新潟県の木として新潟県のシンボルとなっている雪椿。
それは雪椿は豪雪に耐えて越冬し、雪解けとともに美しい花を咲かせる性質が県民性を象徴しているため。
新潟県と新潟県民の象徴にふさわしく、そして珍しい植物です。


このユキツバキは100年以上前(1906年・明治39年)に新潟県阿賀町麒麟山において、世界で初めて発見され、「雪椿」と命名された椿の新種です。江戸時代以前から地元住民により種子油の採取や、観賞用として栽培や品種改良が行われていました。
世界的に見ても日本の積雪地帯の中でも新潟県下越地方を中心とする日本海側の山間積雪地域のみに分布していますが、実際には椿の中でも寒さや乾燥に弱い種類です。
この環境から身を守るために雪椿には独特の性質があります。
雪椿の特徴
枝はしなやかで折れにくく、日本海側の湿った重い雪が枝葉に積もると、根本から柔らかく曲がり、地面と雪の間に倒れて越冬します。
意外にも雪と地面の間には0度以下にならず、湿度も保たれた環境ができるので、寒さや乾燥から身を守ることができます。
雪解けが進むと再び枝を起こし、花を咲かせることから、春の訪れを告げる花とも言われています。
雪解け後も地面についたままの枝もありますが、このとき土壌や水分の条件が良いと地面についた幹枝から直接土中に根が生えて、新たな根株として増殖します。
雪国の環境をうまく利用し、冬を越して根株を増やす、これが雪椿の大きな特徴です。

アメリカの
椿の母樹
「波多野」
江戸時代から明治時代に海を渡って欧米にも雪椿は広まりました。
今では世界中で数千種類の園芸種が育てられています。
なかでも鹿瀬町で生まれた「波多野」という品種は第二次世界大戦後にアメリカの椿学会によって持ち帰られ、現在では数百種以上もあるアメリカ椿の母樹となりました。


雪椿の利用
雪椿の実から採れる椿油は昔から灯りや食用に利用されていました。
また、女性の髪や肌につけると艶と潤いを保つ化粧品としても重宝されてきました。
最近の研究では椿油の中でも特に雪椿油は美容や老化防止、心臓や血管の働きを助けるオレイン酸やビタミンEが多く含まれていることがわかりました。
阿賀町では雪椿油の商品化に取り組み、現在では特産品として販売されています。
その種類も石鹸・入浴剤・うどん等、多種多様の展開を見せています。
また、雪の重さに耐える幹や枝は、木目が細くしなやかで、木工や炭の材料として用いられています。
未来を担う子どもたちへ故郷の宝ものをつなぐ取り組み

雪椿は鹿瀬町発祥の故郷の宝もの。雪椿を守ることは故郷を守ることにもつながります。この宝ものを次の世代へと受け継いでいくために、未来を担う子どもたちに向けて、阿賀町では住民や地元企業と協力して、雪椿の挿し木会や植栽会を行い、保護・育成に努めています。
春になると到るところに咲き誇る雪椿…阿賀町ではそのような町を目指しています。
雪椿の見どころスポット


阿賀町では広く雪椿が自生しており、町の中でも多く目にできますが、角神雪椿園では原種の雪椿を保護・育成し、原種を含めて多くの雪椿を見ることができます。
原種を含め数万本もの雪椿が一斉に咲き誇る光景も圧巻です。
見頃は例年4月中旬から4月下旬となっています。
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